「技術で世の中を便利に、楽しく」【株式会社メディア・マジック】
- 2025-10-17
 - michimichi編集部
 


北海道を拠点に、独自の発想と技術でソフトウェア開発やサービス提供を続けてきた株式会社メディア・マジック。代表取締役の里見英樹さんに、これまでの歩みと今後の展望を伺った。
エヴァンゲリオンとの出会いから始まった挑戦

メディア・マジックと聞いて、今だと“バスキタ”の会社という印象を持つ道民が多いが、実は同社のスタートは「エヴァンゲリオン」と関連が深い。

2000年代初頭、スタートアップ期だった同社はエヴァンゲリオンの当時の制作会社から依頼を受け、PCのスクリーンセーバーやゲームの移殖を手掛けたことをきっかけに、取引を拡大していった。

その過程でiモードサービス上でエヴァンゲリオンの携帯サイトを運営するようになり、制作や更新のノウハウを蓄積した結果、携帯サイト制作のベースとなるCMS=コンテンツマネジメントシステムを開発したのだという。
        CMSはITの専門家でなくともコンテンツを簡単に更新できる。同社はエヴァの公式サイト運営で得たネームバリューや技術力を武器に、エンタメやゲーム系の大企業にCMSを売り込み、システムの利用料や保守料で大きな収益を上げた。
北海道から全国へ広がった「バスキタ」
2000年代後半、スマートフォンの普及とMVNOによる通信コスト低下を追い風にリリースしたのが記事冒頭で触れた「バスキタ!」。

念のため説明しておくと、バスの運行状況をリアルタイムで提供できるバスロケーションシステムで、経路検索はもちろん、位置情報を活用して最寄りのバス停を検索できたり、バスの遅れをマップ上で調べることができたりする。
「幼稚園バスの送迎など、札幌・北海道では寒い中でバスの到着を待たなくてはいけない。モバイルの位置情報を使えば、簡単にバスの到着時刻がわかるというアイディアは2000年ごろからあったんですが、当時は通信料金が高かったのです。
それが2010年以降になってMVNO(仮想移動体通信事業者)によって非常にローコストなデータ通信サービスが出てきました。このタイミングであれば、バスロケのような位置情報に関わるビジネスが急速に普及するのではないかと考えたのです」
アイデアは実を結び、現在では神奈川・静岡・山梨・鳥取・香川といった全国各地にも展開されている。
採用に見る「人」の力
創業から30年近く。社長は採用において「人」に重きを置いてきた。

「面接だけで人の力を見抜くのは難しいです。でもコミュニケーション力が高い人はプラスですね。ただ、エンジニアは内面に熱いものを持っていても、うまく表現できない人もいる。だから面接ではできるだけ内面の力を引き出すようにしています」と語る。
長く活躍する人材に共通するのは「顧客の喜びを自分の喜びにできる姿勢」だという。

「直接見えるかどうかは別として、どんな仕事にも必ずお客様がいます。『こんなソフトを開発してくれてありがとう』『便利な機能をつくってくれてありがとう』と感じてもらえるような(しごとをする)。それは起業以来ずっと伝えています」
破壊的イノベーションが起こり続ける業界で
過去を振り返ると、同社の成長は常に「破壊的イノベーション」とともにあった。インターネット、ガラケー、iPod、スマートフォン──そして今、里見社長が注目するのは生成AIだ。
「自分が生きている間にAIという技術に出会えたのは幸運です。スマホ登場時と同じように、時代を変える大きなイノベーションだと思います。今後はもっとAIを活用したサービスを自社技術として確立しないと、5年後、10年後に取り残される」
すでに同社はAIを活用したバスのルート最適化システムなどの開発に取り組んでいる。技術革新の猛烈な速さに危機感を口にする里見社長だが、どこか楽しそうでもある。
「生きている間にAIに出会えてよかった。本格的に使える時代で仕事ができてうれしいですね」
            



